分科会 どう受け入れるか、不登校・発達障害 の覚書の続き、
スタッフへの質疑応答です。
スタッフ
①埼玉 8年目のスタッフ
②神戸 8年目のスタッフ
③東京 24年目のスタッフ
④神戸 20年目のスタッフ
質問1 ②の方へ。フリースクールのプログラムの中身を教えて下さい。
②「学び」 一緒に宿題をしよう、本読みをする?などその子に
沿って楽しく、マンツーマンで一時間行う。
「遊び」 月一回子供たちのやりたいことをミーティングで
決める。
例 4月初めの 「やりたいこと会議」
小学生 マクドナルドへ・カラオケへ行きたい
好評だったのは海賊ごっこ
(砂浜で黒ひげ危機一髪やものを埋めて探すなど)
自分たちで計画して実行する楽しさを味わう
質問2 子供の代替わりで1からやり直す原因は
②時代が変わった、昔は長い子で6年在籍したが、今は軽い感覚でフリースクールに来て、すぐに 学校へ戻り、結局保健室登校に。フリースクールは塾並みの費用がかかるので家庭の経済状況悪化も考えられる。また、関西方面は学校の適応教室もあるから、そちらへ行くのでフリースクールの「場」が育たず、子供も経験を積めない。5カ月でやめたケースもある。フリースクールに戻ってくる子は少ない。経済的に来れない子のために地域で寄付を集める試みを始めたばかりだ。
やめた子には3月に祝いの会(卒業式のようなもの)や2年に1回実施しているOB会に誘うなど、いつでも来れると声をかけている。
質問3 子供・若者シンポジウムで精神科医になりたいと発言した子が知識を持っているスタッフが欲しいと発言した。現時点ではどのようにしているか。
①臨床心理士はいない、資格にはこだわらないが学習会を実施している。ボランティアで講習会を年一回実施している。外部とのつながりとして精神科医がいる。
②NPO法人に臨床心理士と精神科医がいる。スタッフがプログラムを作るときに相談、カンファレンスをしている。また、大学で当該講座を履修中の学生ボランティアがいる。他に教師、塾講師、不登校経験者、特別支援教育師など。
③医療的スタッフはいない。要望があれば信用できる医療機関を紹介するが、過剰医療の心配があり慎重にしている。親の会、不登校と医療との連携。スタッフは日本児童精神学会・LD学会へ研修に行く。
質問4 進路紹介・障害者手帳の取得などの対応はどうしているか。
①就労支援の情報は保護者から知ることが多い。
職業訓練所へ行く。老人の食事援助
23歳のOB 田舎に転居して農業を始めた例がある。
経緯は本人からの希望で相談があり、
3~4年前から月4回で農業を習っていた。
②手帳は障害者関連のネットワークからの紹介の子は来所前から取得していた。
手帳を取りたくない子もいる。他の子と同じような進学、就職を望んで、守られない環境へ行く。フリースクールに出来ることは年一回の卒業生のカフェイベントへの参加で社会体験を積むことを誘う。
③手帳は本人が「生きやすくなるなら勧める」
「差別を感じるなら勧めない」
本人が主体である。手帳を「道具」として使いこなせればと。
障害者とレッテルを貼られる怖さ、抵抗はある。
取り組みとして
・この先どうやっていくのかの相談は他の人よりも多めにしている。
・すぐ就職に結びつかないが、仕事体験プログラムに誘う。
・就労支援を行うNPO法人とつながり情報を集める。
・すぐに働くのが難しい人は仕事先にも付き添う。
生活の質を重視し、就労も一つの手段と見る。
ファイナンシャルプランナーを招いてセミナーを開催
障害者年金を利用した
テーマ「一生働かなくても生きられる方法」
親が他界した後のビジョンが見え不安を軽減した。
〇参加者(発達障害の理解を進めるNPO法人のスタッフ)の話
手帳を持っている人が多い。
「支援付試行錯誤」の勧め。
大学進学したい人など、チャレンジが難しいところでも、チャレンジするなとは言わない。
柔軟に対応する。
②フリースクールは全部カバーできない、民間ハローワークなどにも頼る。OB会で情報を得られる。10年間アルバイト、農業と転々としフリースクールにも相談しつつ結局家業をつぐことになった子がいた。他の子に「すぐに就職しなくても焦らなくて良い」というメッセージになった。
③年齢の高い現状の厳しい子の親の集まりの親ゼミがある。自分たちで職場を作ろうという機運が出ている。
質問5 学校との連携はあるのか。
どのフリースクールも基本は子供が望んでいるかが判断のポイントです。
③親が動いている。親を通す。本人の希望に沿う。その子にとって良ければとるし、学校との縁を切りたい子はそれに沿う。
②本人が望めば出席認定手続きをとる。
その経路は親⇒担任の先生⇒校長⇒教育委員会、フリースクールを視察⇒校長が裁量で出席認定をする。認定されればフリースクールへの通学定期券の購入も認められる。
①現状は出席認定を一人を除いて希望した。
たまに連絡相手の担任でフリースクールの見学を希望する先生もいる。その場合は当該生徒が担任と話ができるか確認して、出来ない場合はその旨を担任の先生に伝える。
ある中学生は学校の学年主任と不仲。フリースクールが週一回で少ないと不満そうだった。
質問6 ②の方のフリースクールで発達障害の子が周囲の子とのバンド結成まで具体的にどんな経緯があったのか詳しく教えて欲しい。他のところで生徒がスタッフを殴った現場を見たことがあるので回避する方法はあるのか。
②訪問支援が大切
・前置きだが、男子中学生の家に3年通ったことがある。
あるとき、進学を勧めたら「裏切り者」と電話された。
訪問して1~2時間その子の話を聞いた。返事しかしないスタッフに対して「壊れたレコード」と言ったが、初めて自室に招いてくれた。暴言をした彼なりのおわびだったのかもしれない。彼の成長段階の一つでもあった。
・バンドの子たち
インドの部族は『子供にナイフをもたせケガをすることで危険を学ぶ』という考え方がある。
周囲の子は発達障害の子と「なぜぶつかるのか分からない」「なぜ伝わらないのか分からない」と言うが、スタッフは間に入らず、ひやひやしながらも見守り続けた。
それは…以前に衝突をさせなかった失敗の経験があったからだ。
二人とも発達障害だった。一人は人と接触するのに恐怖を感じる子だった。近寄られるのが嫌だともう一人に伝えたいと希望した。親も直接伝えたいと。しかしスタッフは二人とも傷つくのではと心配し話し合いを持たせなかった。結局、親は怒り、その子はフリースクールを去った。
そこで反省したことは…間に大人が入って「通訳」してはダメだと。
当事者に任せ、いろいろ大変だったがバンドを組むまでに
③友達になりたがる子がいて、それを嫌だと感じた子がいた。スタッフに嫌な旨を伝えて欲しいと言う。しかし、言っても理解できずまた行く子である。それでその現状を伝えた。
①すぐカッと怒る子がいた。ゲーム中、声をかけると「うるせえ」と何回も続く。
他の子から相談をうけるが、本人に言っても改善しない。
その子の特徴を伝えた。
行動パターン、どなりつけた後で周囲の子にちょっかいを出す。それがその子なりの「ごめんなさい」だと。
質問7 学校の先生も同じ気持ちだと思う。フリースクールから学校の先生に望むことは?
③障害のあるなしに関わらず、一人一人を大切にすること。
学校で可能かどうか難しいが、そのような雰囲気の学校になってほしい。
②よく聞く先生の言葉「一人の子を見られない、忙しい」
ある学校の先生の好例
授業でスポットライトをその子にあてる工夫
国語の授業で漢字の画数を一人一人に聞いて
子供に「先生」をやらせる。
①授業で進行の先生以外にもう一人先生がいるのでできるのではないか。
質問8(出席者への質問)不登校・発達障害の大学の授業の現状は?
〇学生・教育学部(岩手)15時間 不登校・発達心理学・不登校を含む虐待支援など
〇学生・教育学部(神奈川)不登校未経験者は学校で見た対応しか言わないので違和感があり、この講座に参加した。フリースクールのことを言おうとすると学校批判ととらえられ理解してもらうのが難しい。
〇学生(静岡県)大学でスクールソーシャルワーカーをしていた先生のゼミをとっている。
〇学生(神奈川)中等生徒指導授業で「いかに(不登校児童を)学校に来させたか」を語る先生は嫌われた。特別支援の授業はある。
〇学生(山梨)「どういう風に支援したら学校に来られるのか」の授業はあるが、具体性がない。
〇大学の先生(宮城)授業をもっている。フィールドワークをしている。そこで感じるのは「フリースクールに典型はない」ということ。現在、自分の研究室はフリースクールのような場にしている。
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