学校では教えてくれない、自由な学びをはじめよう。

アナザースクール コクーンのLesson10(2022/01/13)のレポートです。
テーマは、
「思ってたより社会は冷たくないよ」
~押し入れから社会へ~
ナビゲーターは風芽美空さん
プロフィール
 小学校3年生から中学校3年生まで約7年間不登校。
 高校進学せず、社会へ。声優になる夢をめざすが、不登校時代のトラウマでストップ。不登校と向き合おうと、不登校サークルの経験者スタッフに。
 多くの人が日々力一杯生きているのに気づき、少しでも力を抜いて生きて欲しい、願いをこめてオリジナルキャラクター「ほにょほにょにゃんこ」を制作。
 不登校テーマ映画『円(まどか)~CHANGE my life~』をプロデュース。(Q&A、フリートークコーナーではそのお話も。)
風芽美空さん(139)
お話が始まります。

生きる上で学歴などで困ったことはほとんどなく
それなりに幸せに生きているということを知ってもらえたら嬉しい…

お話しやすくなるために自己紹介。
名前:美空(38歳)
出身:九州の温泉の有名な県
好きなもの:アニメ、ゲーム、猫
好きなユーチューバー:セイキンさん、ヒカキンさん、カドズル社、その他もろもろ

不登校時代多くの人に言われたこと
 学校に行かないと…
  ろくな大人になれない
  仕事に就けない、乞食になる
  足元をすくわれる
  社会は冷たいところだからなめられる


不登校のきっかけ
小学校3年生の担任の体罰。
 悪い点をとる、忘れ物をする、意見を言うと木の棒でお尻を叩かれました。
 考えることがゆっくりで勉強についていけない、怒られる。
 間違うことが怖くなり、何も言うことが出来なる。
 どうすることもできなくなりました。

 怖くて怖くて心も体も恐怖心でいっぱい

 この感覚は今もずっとあります。
 子供は叩けば早く走る馬ではない、今なら先生にお説教してあげたい気持ちです(笑)

 当時は押し入れで生活してました。押し入れは秘密基地みたいで安心空間でした。

昼夜逆転について
当時の生活は
 午前5時 寝る
 午後2時 起きてアニメ・ゲーム・ノベル、遊び、
 午後7時 夕ご飯、アニメ・ゲーム・マンガ・イラスト、
 午後10時~朝までラジオ

 ゲームは大事なコミニケーションツールで友達と一緒に遊んでました。

持論ですが…昼夜逆転は若さの特権だなと感じてます。現在はその体力がなく、すぐ眠くなります(笑)

昼夜逆転で悩んでいるそこのあなた大丈夫!

 年を重ねるとできなくなります。どうせ昼夜逆転するなら楽しんで!(笑)
 保護者の皆さまごめんなさい(笑)

不登校あるある
①兄弟、姉妹の場合どちらかが学校に行かなくなると、どちらも不登校になる。
 美空さんも妹さんが一時期一緒に不登校でした。でも妹さんは優しい先生に励まされてわりと早く復帰しました。美空さんは、同じように優しくされても今までの大人への不信で受け付けませんでした。

②ほとんど外に出ないので筋肉がない。
 肌は真っ白、がりがりのもやしのようでした。美容院にもほとんど行かず髪はお尻より長かったそうです。

 スタッフ:なぜ美容院へ行かなかったのですか?
 美空さん:人に体を触られるのがイヤだったのかもしれません。
      当時はお風呂にほとんど入りません。

 スタッフ:お風呂には入る気力がなかったのですか?
 美空さん:必要性を感じませんでした。でも好きな人ができたら入るようになりました。

中学を卒業
「高校ぐらいは行きなさい」と多くの大人に言われました。でも高校に行く「意味」がわからない。

                
納得いかないことは出来ません。
 
  学校では「本人不在」の話し合いがされました。

 スタッフ:本人不在…よくされることですね…

その後、
 中学校がハローワークと提携して仕事を三つ探してきました。
 頼んでいません…
 学校は後輩が就職するとき、紹介した学校の信用がなくなるので、断ってはいけないと釘をさしました。

 スタッフ:「断ってはいけない」…すごいですね。

初めての仕事
 和食レストランです。
 人前に出られない、挨拶もできない15歳の少女が突然社会に放り出されました。
 店長さんと「いらっしゃいませ」を言う練習をして数か月かかりやっと大きな声でいえるようになりました。

 青いエプロンと白い帽子姿

だんだん楽しくなりました。お客さんをさばくのもゲーム感覚です。
周囲は30代、お母さんのような世代も
同世代の人は学校に行ってるので、比べられないのがよかったのかもしれません。

当時のことのインタビュー、不登校新聞の見出しが秀逸です。

学校は競い合い
仕事は助け合い

 本当にそうだなと、助け合うことで仕事が出来る。大人不信をこじらせていたのに、4年間続きました。それは出来ないことが点数になるのではなく助け合えたからです。

 働くことの方が合っていました。学校が合わなかった

………それだけの話だったのかもしれないと美空さんは言います。

 お給料で好きなものを買え、お休みを申請して「どこへ行こうかな」と世界が広がりました。

よく聞かれること。
〇学校へ行ってないので働くうえで困ったことってないの?

 正直なところ、領収書を書くとき宛名の漢字が分からないくらいでした。
 「漢字が苦手で…」と聞いて解決しました。計算なども電卓が使えるので特に苦労しませんでした。

〇7年間も不登校で読み書きは?

 小学2年まで、登校してたのでひらがな、カタカナ足し算引き算はできます。
それ以外の生活に必要な知識などは
 当時好きだった、マンガ、アニメ、雑誌、小説、ゲームでほとんど学べました。
………学びの先生はそれらメディアの存在が大きかったそうです。

社会に出て本気で困ったことは
 ATMの使い方でした。学校の勉強ではありません。
 初めての給料をおろしに銀行ATMへ。できません。後ろに並んでいるのに…焦りました。勇気を出して並んでいたおじさんに聞きました。優しく教えてくれました。

 「できない、わからない」は悪い事と思ってました。

 でも、社会はやさしい。学校はできないと竹刀…大違いです。

不登校と向き合う…価値観の変化
 その後、夢を追いかけ声優の専門学校へ、いろいろあって1年で退学。
 諦めきれずに上京。
 夢が叶いかけますが、怒られることに対する、体が震えるほどの恐怖心がぬけません。原因は不登校のとき…。一旦ストップし、不登校と向き合い問題を解決しようと検索し、不登校支援NPO法人のスタッフになりました。

 自分は努力のできない人間のクズだと強く思ってました。
 でも、多くの経験者さん、保護者さん色んな人に会ってみて思ったのは

不登校であろうとなかろうと同じ人間

 不登校だったから…毎日毎日怒られたから…悩んで苦しんでいる自分がおかしいと思ってましたが、誰と話しても、どんな高学歴の人も、みんなそれぞれに悩んでいました。

 気を抜くと上手くいかないのは学校に行ってなかったからとか、ろくに勉強できないからとか考えてへこむこともあるけど、でも私が学校行かなかったのはそれがその時必要だったからと思えました。

不登校は事実にすぎない

 25歳から学びなおしました。ドリルをやるのがちょっと楽しくなり、わからない問題を仲良しの同僚に聞こう、休憩時間にもやろうと職場へ持っていきました。バレたらバカにされるとコソコソやっていたのですが…
 「勉強しているの?」「なつかしい」「見せて」「私もやりたい」と集まりだしなぜか数人でやることに(笑) 高卒の人、大卒の人、専門学校卒の人、いろいろな学歴の人がいましたが、皆算数ドリルに苦戦しました。
 その時改めて思ったのは

 わからないことは聞けばいい

 沢山の人に出会い色んな人生を知って価値観が少しだけ増えた気がします。
 それまでは こんな自分では駄目だと変わろうとしていたけど、

変わらなくてもいいと思える人や場所がある
と気づきました。

 私はこれまで自分が不登校だったことをあえて言うこともしませんが、隠してません。不登校だったことは恥ずかしい事ではなく、「ただの事実」だからです。マイナスだと言われる経験ですが、私にとって全くマイナスではありません。

 逆に応援してくれる人や「実はうちの子も」と告白してくれる人もいます。そんな人たちの話を聞くと、どんな人でも精一杯生きているんだなと。悩んだ「怖さ」は無くなりはしないけど、少しずつ薄らいでいくような気がします。

仕事について
 中卒ですが、働くことも出来ますし、学歴の関係ない仕事もちゃんとあります!
こんなことも…
 したい仕事の募集が…でも資格は高卒以上。諦めきれず、「中卒ですが…」と電話しました。担当の方は「高卒は便宜上の記載です、面接しましょう」と。面接のとき「便宜上ってどういう意味ですか?」聞きました。要は18歳以上ということでした。(はじめから年齢にして!)

 大好きだったアニメやゲームのおかげで今も知り合いが増え続けています。特にゲームは、年齢に関係なく老若男女の友達が出来ます。

社会に出るのが怖いのは…
 もしかしたら昔の私のように社会に出るのが怖いって感じている人もいるかもしれません。そんな人に伝えたいのは

怖がって当然

…だって、周りがあれだけ脅かしてくるんだから、怖くなって当然です。

 学校は行けるなら行った方が色々波風がたたない。行けない時はないなりに それぞれに周りが何を言ってきても休むこと、行かないことが必要な場合が絶対にあります。

 誰に言えなくてもあまり自分を責めないでほしい。

………美空さんのことばは詩のようです。ここで美空さんのことばをそのまま引用します。

わからないことは聞いていい
困ったら隠さずに困ったって言っていい
助けが欲しい時は助けてって言っていい
脅されるほど社会は冷たくない
助けてもらったら
次は誰かを助けられるから

せっかく生まれてきたんだから
どうせなら社会は冷たいって
疑いながら生きるよりも

難しいところではあるけど

怖がりながらでも
人生をくつろぎながら生きられたら
いいなと思います。

自分の人生は自分で歩けます。
自分の責任は自分で取っていいんです。
だから安心してね。

最後に保護者さんへのお願い。
お子さんのことを心配し大切にしているのと同じように
お父さんお母さんにもお父さんお母さんがいて
あなたも大切なお子さんだということを忘れないでほしい。
**********


………お父さんお母さんもたまには休んで。美味しいものを食べてほしい。と思うそうです。


質問&トーク
Q:何をしているとき、何をしていないとき幸せを感じますか?
 しているときは…
 コミケのグッズを作っているとき、時間を忘れて没頭します。
 最近は小さな幸せを感じるのが嬉しいです。小吉のおみくじを引いて、大吉をひくよりもほんわか嬉しかったです。小さな幸せだとどんどん伸びていけるように思います。

 していないときは…
 コミケの店番で前を通行する人を、あるいは自宅の4Fの窓から外を何も考えないでボケーっと眺めるとき。心が安定します。

映画について
Q:映画作成のモチベーションはどこから?
 「何、それ、楽しそう!」から始まりました。

Q:きっかけは?
 主役の女の子からの電話「映画にしない?」。雑談が発端です。

Q:何人で作ったのですか?
 5人くらいから始まり、50人へ

 脚本は監督が書きました。寝ているとふとんをはぐ、不登校あるあるなど。

Q:機材はどうしましたか?
 監督さんの持っている一眼レフで動画が撮れるとわかり借りました。

Q:制作期間は?
 二年半です。上映時間は一時間半です。

初めての一人暮らしについて
Q:始めるときは不安よりもワクワクが強かったのですか?

 最初は声優学校がアパートを借り上げた寮でした。普通のアパートに住むのと同じでした。
 現地ですべてを調達しようと何ももたずに引っ越しました。自分のものは自分でそろえていいのが嬉しかったです。
 特に、洗剤を好きなものを使っていいのが…

Q:洗剤?

 家ではお母さんがお得用みたいな大きなのを使うことになってました。
 自分で選べる幸せがありました。
 トイレを掃除できるのも楽しかったです。ブラシは何にしようかなと。


社会にでたことについて
 初の社会は、頭の中では何もわからないときにポーンと放り込まれました。
 でも、学校では孤独でした。

スタッフ:
 職場は出来ないと困る、だから全体で助けます。
 ところが学校は出来なくても困らない、「本人の責任」と突き放します。
 学校は自分で手一杯、職場は…不親切な人もゼロではないけど、助け合います。

Q:不登校からお仕事に就いて体力面はどうでしたか?

 仕込みなどもあり早く出勤、自宅と職場が離れており、自転車通勤でしたので帰宅したらヘトヘトでした。
 でも、学校からの「後輩に迷惑をかけてはいけない」という呪縛?で続きました。

Q:人への信頼感がないまま大人になる人は多いです。どんな人との出会いで少しずつ変化したのか、それとも大きなきっかけがあったのですか?

 両方でしょうか…自分が一番下と思ってましたけど色んな人の話を聞くと、自分も人間なんだなと。人の話を聞いて少しずつ変化したのかもしれません。

スタッフ:
 社会はイヤな人がいても離れられ、選べますが、学校はせまく選べません。

Q:「どうしよう」と思ったとき前へ向けられたエネルギーはどこから出ますか。

 ブツヨク…かな…(笑) この本がほしいとか、やりたいことがあったからかと思います。

スタッフ:物欲は大事です。

学校について今の評価は
Q:学校に行く必要がない発見や学校に行くデメリット…とても参考になりました。後悔ではありませんが、逆に学校ならではのよさはありますか。

美空さん:
 良くも悪くもまんべんなく学べます。一律に教えてもらえます。
 同じ年齢の子がいて皆同じ事ができる。良くも悪くもですけど。

スタッフ:学校が一律でなければ、体罰も無い…

美空さん:叩くのは短絡的です。安心して勉強できません。

Q:そのころ、友達はいましたか?

 不登校の原因はいじめではなかったので、ゲームなどで友達と話が合いました。大人は怖かったです。


フリートーク
参加者:一律でない学校をつくりたいと思ってます。小さい頃から大人の言うことはウソと思ってました。偏差値は…

美空さん 偏差値?知らないので数字を聞いてもわかりません。

参加者:
 50が平均です。学校へ行くなら「学生生活」を楽しみたいです。

美空さん:
 わかります。私は高校へは行ってないのであこがれて、(学校が舞台の)恋愛シュミレーションゲームにはまったことがあります。

参加者:
 ぼくもゲームが好きです。わかります。

美空さん:
 大人に信頼できる人はいないです。でも好きなラジオ、ゲームを運営しているのも大人、その大人から勇気をもらったのも事実です。
 好きなものがあれば、どんどん行こう、生きる力になります。人に出会える。…立派そうなことを言ってますが、毎日「どうしよう」と思ったりします。

参加者チャット
-すごいステキ。
-お話を聞いてすっごく安心しましたー!!
-「何とかなる」ってとても励みになります。
-こんなに深いお話が聴けると思っていなかったので感動です。
-期待して参加したのですが、それ以上の学びや共感がありました。ありがとうございます。

スタッフ:
 美空さんはラジオで不登校関連の話もされますが、ほんわかした語り口で聞きやすいです。以前、不登校についての冊子を紹介してくださり、小学生の書いた文章をリスペクトして下さりジーンときました。
 ※注・冊子=NPO法人自由創造ラボたんぽぽ編「ありのままで」しあわせな不登校のすごしかた

美空さん:
 年齢は関係ないです。年下の子によく助けられます。

参加者:
「学校へ行かないのは事実で、意味はない」いいですね。
 周囲は自分の経験則で「バイトぐらいできるでしょう」とか言ってきます。
でも、美空さんはふとんから足を一歩出す、その踏み出すのが大変とわかってくれて嬉しかったです。


怖さについて
参加者
-かなり洗脳されてます。社会は怖い、人は怖い

美空さん:
 人が初めて身につけるのは怖さかもしれません。我が身を守るために必要だから。

スタッフ:
 知ってるから恐れられます。

美空さん:
 本能かな。

スタッフ:
 無痛症のひとは熱湯をさわっても感じない、ヤケドしてもわからない。人から聞いて気づきます。怖れは生きる力でもあります。一生付き合っていければいいのかなと。

美空さん:
 それだけでは、ツライけど。

進学について
参加者:
 義務教育をおえると、いろんな通信高校を教えられ、「選べるよ」と。進学したい人は有難いでしょうけど(自分は)プレッシャーを勝手に感じてました。「高校に行く」を選ばなくても大丈夫!って思えて嬉しかったです。

美空さん:
 「行きたい」と思えれば行くといいです。学びはいつからでも出来ます。

スタッフ:
 「~しないと、~なる」の言い方がよくないですね。 世間の「~するべき」は主観です。それを客観と間違えてます。

スタッフ:
 ここにいたらマズイと違和感を感じるのは大切ですね。美空さんが体罰教師から逃げたのは正解ですね。

美空さん:
 そうですね。今ではポジティブにとらえてます。
 今日も聞いてくださる方がいてうれしかったです。


※メモをもとに重複する内容をまとめ構成しました。

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