「教育ってなんだろう?これからの学びのカタチ」(2020年9月27日)
藤沢市役所分庁舎於いて 自由創造ラボたんぽぽさんの主催で開催され出席しました。

前々から関心があったお二人の話を直接、伺えて嬉しかったです。

そのお二人…
木村泰子先生 大阪市立大空小学校 初代校長(Zoom参加)
  どんな子供も受け容れ、分断しない、
  子供の学習権を守るが信条の先生
 大空小学校は2014年ドキュメンタリー映画「みんなの学校」に。

西郷孝彦先生 世田谷区桜丘中学校元校長
 木村先生の学校に感銘を受け、
 「校則ゼロ」の中学校を実現。
 
 
 木村先生は
 
    「こういうときはどうするのですか」という質問に

    「子供という事実が答えです」と。

 人はマニュアルを求めますが…それ以前に注目すべきは事実、子供です。
 大切なの「学び合い」
  現場の人…
 定義と事実が違うから、「障害」という言葉を使わなかったそうです。
 

西郷先生は
「ゆうゆうタイム」という独自な時間を設けました。子供が好きな先生を選んで悩み事などの話ができる時間で、担任を持たない先生も含まれます。
 従来のすぐ怒鳴る、机を蹴る先生に誰も来ません。そんな先生はゆうゆうタイム中、職員室でパソコンに向かいぶつぶつ言って時間をつぶすことに。でも、翌年は子供達が抱きつくような先生になりました。西郷先生曰く、先生になった人はどこかに子供が好きという思いがありますと。

 先生も変わります。

 子どもを変えるのではなく先生が変われ…

以下、それらの内容を手書きのメモをもとにまとめました。

木村先生 (以下 木:)
 日本社会の大きな問題がコロナ禍で露呈されました。
障害者、校則違反者を排除するのは憲法26条違反です。
パブリックの学校は全ての子供が安心して学べるべきです。
ところが、
「子供のわがままを許すな」「将来困るから厳しくしなさい」??

 では、子供はいつ失敗したらいいのでしょうか。

西郷先生(以下 西:)
 木村先生を知ったのは、たまたま渋谷で映画「みんなの学校」を観たからです。
 大空小学校はいいけど進学先の中学がないと知って、では(自分は)東京の中学校だけど作ろうと思いました。
 映画の感動を知らせたくて、世田谷区の他の校長先生達に見せましたが賛同する人はひとりもいませんでした。感性がないと分からないようです。ショックだったのは情緒の先生も木村先生自体を知らないことでした。

質問1 お互いの学校の感想はどうでしたか?

木: 
 教室でイヤイヤ座らなくていいの?二度目は自然にやっていました。子供が自分で考え判断し行動してます。

西:
(木村先生に)初めて会うのに昔からの知り合いのように思えました。(方針を変えた)始めの5年間は苦しかったです。木村先生に褒めて欲しくて…褒めて頂けて嬉しかったです。


質問2 
校則を無くして教職員の方々の反応、対処はどうされましたか?

木:   
 「インクルーシブ教育」と言いますが、大空小学校での9年間、この言葉を使ったことはありません。「障害」という言葉もよくわからないから使いませんでした。

 定義と事実が違います。

 大空小学校の一年目はベテラン教師もとことん落ち込みました。今まで培った指導力が効きません。自分が通用しない人間と全員が思いました。7、8人の先生は年功序列(の順)に辞めようとまで言いました。50代の女の先生も苦しいからやめた方がいいと。

 大変だと。でも「大変」という言葉は「大きく変わる」と読めます。

 苦しい原因は教師、自分だったと気づきました。ならば自分が変わろう、自分ができなかったら、自分の居場所がなくなります。

 「子供を主語にしよう」と、自分を変えることから始めました。

 担任の先生の力が増したら子供は不登校になります。
 担任の先生しか知らない学校という密室は社会では役に立ちません。

 様々な子供がいつも一緒にいると、どうしたらよいか子供自身が考えます。「障害」を理由に子供たちを分断しません。また、学校の中に常に地域の人を入れます。学校が終わっても地域で子供たちを見てくれる人がいます。

 1年目。5年間学校からはぶかれ、6年生しか(残って)ない子と重度障害者PTSDの子が来ました。この二人が安心していられる空気を作ったら、この子たちの意志で行動できるようになったら他の子にも通用する学校になる……これを目標としました。

 2年目。評判を聞いて学校を「排除」された子供たちが集まりました。

西:
こんな「戦略」を立てました。
①新規の先生を採用する…他校の経験がないので桜丘中が「普通」だと思ってくれます。
 
②「ゆうゆうタイム」の設置 生徒が自分の好きな先生を選んでおしゃべりする時間です。
 担任を持たない先生も含みます。友達ができない悩みなども話せます。40人も集まる先生もいます。軍隊みたいな先生、どなる、机を蹴とばす先生には集まりません。誰も来ない先生は、その時間職員室でパソコンを打って(時間をつぶす)…しかし翌年は子供が抱きついてくるようになりました。どんな先生も「子どもを好き」な要素を持っています。

③同じ考えを先生に染めるのを諦めました。
 マンガばかり読んで仕事のできない先生もそのままで、子供と同じく「多様性」だとしました。子供達も1年目は(その先生に)ぶつぶつ言いましたが2年目は「しょうがない」と(笑うように)

木:   
 自分が「困らなくなった」子が他の子にその経験を伝えます。大空小学校では6年生は全員がリーダーになります。
 子供が「ここが好きだ」と訪問した方を職員室に案内することがありました。それは困ったことがあってもいつも誰か大人がいて何とかなる場所だからです。

 職員室は肩書を捨てた大人の場所にしてます。

 校長も事務員も関係ありません。その子供が一番安心する大人。その大人全員が子供の情報を共有し、他人の力を使えたら評価します。
 間違いを教える先生がいても、むしろ子供がしっかりします。大人はこの子が困っているなら「自分は何ができるか」考えることを最優先します。ここだけは苦言を呈しました。

西:
 校則は子供にとってやぶることがステータスになっています。校則がなければ、スポーツに興味が移ります。でも犯罪は厳しく、殴れば暴行罪、物を壊せば器物損壊で弁償。(警察通報も視野に)学校内だから(犯罪が)許されるのはおかしいです。

木:      …学級担任制度の弊害について…
 私が先生になったばかりの頃、自分の力で子供達を引っ張ろうとしました。自分の組の子供達は伸びましたが、隣の組との落差があり、自己満足でした。2年目は小5を担当し、学年全体で子供達を伸ばそうと他の先生と協力しました。

 (子供にとって)「当たり」の先生ならいいけど、「外れ」の先生は1年間ガマンしないといけません。先生は給料をもらえるけどおかしいです。「すべての子供の学習権を保証するのが校長の責任」が信条です。子供がお互いの違いでトラブルになることを「学び」に変えます。

 学級担任制度をなくすと「当たり」「外れ」がなくなります。

 学級担任制度だと先生同士で この先生はできるけど、自分はできない(苦手)…でもやらないとアカン。いろいろな理由をつけてしまう。

 校長の役割とは人の力を活用する力をつけることです。

 結果は「子供の事実」で分かります。
 多様な家庭があり、(学校だけで子供を見るのは不可能)、地域で子供達を育てるようにします。 
 現実は親が子供を殺しても驚かない社会になっています。学校が変わらないとアカン。人の力を借ります。この子が一番話をしたい先生は誰か?その大人をその子のところに連れてきます。

西:
 先生であっても、自分に子供が生まれるまで保護者の気持ちは分かりませんでした。
 ある不登校の子がいました。校長室にたまに来ます。公園をいっしょに散歩し、ときには一緒にアイスを食べたことも。その子と話すとお父さんが校長先生でした。その校長先生も自分の子供が不登校になって初めて保護者の気持ちがわかったそうです。そんなものです。わかってもらえなくても、法律を使って交渉することもあります。

木:        …地域、保護者とのつながりについて…
 地域をサポーターにしました。
 大空小は地域で20年間、開校を反対されてました。学校ができても「行きません」の署名もありました。
 どうしたら親が安心できる学校ができるかを考えました。私は母から、「よその子ばかりみて自分の子供をどうするの」と言われたことがあります。自分の子供を自分で育てるのは無理です。理由は親子だから。でもよその子ならできます。

 サポーター(大空小では保護者のことをこう呼びます)の方の文句は一切受け付けません。それは誰一人幸せにしないからです。でも意見は「良くできる」から誰でも受け付けます。「保護者」という言葉は学校ではシュレッダーにかけて下さいと言いました。子供達のサポーターになって下さいと。学校に出入り自由ですが、自分の子供は見ない、さわらないでください、他の困っている子供のそばにいてくださいとお願いします。

 他の学校でズタズタになったお母さんがいました。前の学校では「お子さんを見張って下さい」と言われ続けました。でも、大空小では「他の子を見てください」と。そんなお母さんがよその子が困っていると「大丈夫?」と声をかけました。それを見たそのお母さんの子は「お母さんは二重人格だ」と言います。わけを聞くと「自分だったら殴るのに」と。

 病んでいるお母さんが来たこともあります。学校では対応に無理な場合もあり、診断をもって精神科へ通院するなど関係機関のサポートを受けてもらいます。中にはママ友が情報を共有して「他のお母さんも同じような悩みがあるよ」と言ってくれ、改善したこともあります。

西: 
 子供は、保護者、校長が来てもヒキます。でも今は慣れて、いるのが普通になりました。
 朝、登校すると校長室でカップラーメンを食べている子がいました。理由をきけば朝ご飯を食べていないと。それも慣れれば普通です。

木:
 憲法26条を保証することが校長の役目です。
 子供が家で殺されたら…すべての子の命を先生は守れるか?できません。でも「そんな力はない」と言える先生は…30人の先生に聞いたら3人だけでした。

 先生は洗脳されています。

 「できません」と当たり前に手を挙げられる先生になる、助けを求める、いいと思ったら勝手にやっていいです。失敗したら全員でフォローします。

質問3 大空小学校で学んでも、そのままで行ける進学先の中学がないのでは?

木:
 そこまで考えていませんでした。校則、マニュアル、規律を作る余裕はありませんでした。

 大空小は「人の嫌がることはしない」という約束だけです。破ったら反省します。

  ところが中学校では校則があります。大空小学校は地域ごと変わったので中学校にも影響しました。でも初めは、大空小出身の子は中学の集団行動のレベルが低いと言われました。
 例えば、整列です。大空小の子は「前へならえ」をしなくても前後左右を見て距離をとり、整列できます。ところが中学では「前はならえ」を強制されました。
 納得しない子が、「腕のない子はどうするの?」と私に聞きました。私は「しなくていい」、子供「じゃあ腕のある子もしなくていいのでは」と。
 中学校文化を変える、社会を変えるのはお節介と。それで卒業前に中学準備講座を設け、「前へならえ」等々を伝えました。文句を言うのは間違い。おかしいと思いながらも柔軟に対応できる子にと。

西:
 保育園では自由に育てたのに小学校では叱られるのが保育士の方の悩みと聞きます。

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桜丘中学の子供達のインタビュービデオより
高校進学した男子
「自由は信じること。先生との信頼関係から自由が生まれる。」
女子生徒
「メイクをする子を見て、初めは(抵抗があり)自分は皆と同じじゃないと思いましたが、私はメイクに興味がないし、私服もおしゃれじゃない。でも、今はそれは自分、自分らしい。私は私。自分で選んだと思うようになりました」
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質問4 20万、40万、不登校の子がいる現状をどう思いますか。

木:    …「教えてもらう教育」は終わり…
 学校は変わらないです…。
 フリースクールなど好きな方を選んでいいと思います。
 でも、パブリックの学校は無料です。お金を払ってフリースクールに行くのは…フリースクールの方と話して怒らせてしまったことがありますが…。

 いじめなどの自殺は過去最高です。百、ゼロで学校に問題があります。

 不登校で親に首を絞められそうになった子がいました。大空小は「空気が違う」とその子は言いました。
「前の学校の空気は…刑務所、牢獄。空気を吸えない。不規則発言をすると『椅子に座れ』と。言いたいことが言えない。苦しくて教室を飛び出したら警察のように追いかけられた。」大空小は?と聞くと、「普通」とその子は言いました。

 「教えてもらう教育」は終わりではないでしょうか。

 学校は「自分を作るため」にくるところです。困っている子に先生は「どうしたらいい?」と他とつなげます。
 
 卒業生は大空小が「僕が僕らしく行動することを認めてくれたから安心できた。」と。さらに「僕は他の人を尊敬しなければならない。」と言いました。

 いっぱい違いがあっても人は対等…それを学ぶのは小学校です。

西:
 楽しいから学校へ行きたい…それが目標です。
 現実は制度的に難しいです。でも「牢獄」のような学校へ行かなくていいと思います。
 例えば、テストの日と競技の日がぶつかり、テストを受けられなかった子は金メダルを取っても通信簿は「1」。おかしいです。
 校則の厳しい学校が好きならば行くのもいいと思います。でも現実は学校が均質過ぎて選べません。N高等学校に期待してます。

質問5 インクルーシブについて。

司会:
(私も)教師として、教室の(不登校の)空席を見ても「いいや」と思ってはいけないと思います。子供が学校に来たくなるようにと思う先生の軸はブレて欲しくありません。

木:
 賛成です。自分の不登校が原因で両親が別れたと思う子供がいました。大空小に転校して学校に来れるようになりました。その子が「元の学校も通えそうだから戻りたい」と言い出しました。理由を聞くと「戻れば両親の仲も戻ると思う」と。結局、再転校しませんでしたが。

 一人の教員のスキルでは困っていることの解決はできません。
 例えばダウン症の子がクラスにいる場合。周囲の子も一緒に考えます。

 先生が「解決する」はいじめに繋がります。

 先生が課題を(子供に分かるように)「通訳」して子供同士をつなげます。他の大人にも助けを求めます。

 以前、先生は学校、授業に他の大人をいれたがりませんでした。他の大人はサポーターです。「この先生は上手、この先生は下手」と(批評を)言う方は「出禁」です。目標は子供と育ち合いです。
先生も初めは「不安」でしたが、翌年は親が来ていないと「不満」を言うようになりました。行動で変わります。

西:
  校則がないのは自分で考える力を育てます。

 識字障害の子がいました。タブレットを使いたいと言うので「いいよ」と。他の子が自分も使いたいと不満を。だから全員に許可しました。
 帽子を脱げない、脱ぐと不安になる子がいました。全員もかぶってて「いいよ」と。 
 二次障害の子がいました。教室へ入るのが怖くて入れなくなってました。「廊下で勉強したい」と。「いいよ」と。廊下で勉強していると、他の子から「いいとこへ就職できないよ」とツッコまれました。「僕の方が給料が高くなるよ」と言い返せるようになってました。(確かにプログラミンがのスキルがすごい子でしたが)。高校進学後、その子から「教室に入れるようになった」とメールがきました。
 子供も変わります。

木:
 インクルーシブ教育について先ほど触れませんでしたので付け加えます。
 誰も排除しない、困らないように合理的配慮、個別最適化することです。
 様々な子供のいる環境から得る力は子供全員につきます。
 大空小では個別指導計画をお母さんと相談して決めました。74人の子供全員が各自、決めて学びます。

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 終わりの方で木村先生にこんな質問が…つい聞き入ってしまいメモを取り損ねたのですが…こんな主旨でした。

 
木村先生は大空小学校のやり方を求められるまま講演されてきましたが、現状はあまり変わってませんが…どう思われますかと。(むなしくなりませんかとそんなニュアンスです)

 木村先生は…そう思ったこともありました。でも、続けていきますと静かに答えられました。

 


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