一番言いにくい言葉は…
「助けて」ではないでしょうか。

昨今の家族間の痛ましい事件も「助けて」を言えなかったからでは。

家族の中で屈託を抱えていても
家族の中で解決しようとして 行き詰る。
そして最悪の事態になり初めて表ざたになる。


幼い頃から
「人には迷惑をかけてはいけません」
「人に迷惑をかけない人になりなさい」
と言われ続けてきました。
これだけ擦りこまれているとなかなか他人に「助けて」とは言えません。

 助けを求めたら「人に迷惑をかける」からです。

木皿泉というひとつのペンネームで夫婦で脚本を書かれている方がいます。
私はこの方の本が好きです。
気持ちが温かくなる、はっとすることばに出会います。

その著書「木皿食堂」の中の対談に



「助けてという勇気」…そんな言葉がありました。


その木皿泉さんの脚本
NHKで放送された「昨夜のカレー明日のパン」というドラマがあります。
   原作本はこれです。
  (木皿泉さんは俳優にあてがきします。この原作はドラマ化で配役が決まる前に書かれていますから、セリフはドラマの脚本とは違うところがあるそうです)
 
昨夜のカレー、明日のパン
木皿 泉
河出書房新社
2013-04-19




設定は血のつながりのない家族が暮らす物語です。
父と、息子の嫁の二人暮らしがドラマの中心です。
息子は7年前に25歳の若さで他界しました。
お嫁さんは夫の父を「ギフ」と呼び、
義父は彼女を「テツコさん」と呼びます。

お嫁さんには恋人、岩井さんがおり、ドラマの初回で結婚を申し込まれますが
「結婚はしたくない。家族が嫌い。ギフと暮らすのは始めから偽物と分かっているからだ。」と言い放ちます。

隣の家には引きこもりの元CAの娘さんとその両親が暮らしているなど
各自問題を抱えている人たちが登場します。
しかし、見た後、必ず温かいものが残るドラマです。

そのドラマのある回で
ギフが山登りを始める話があります。
テツコさんはギフの山登りのアドバイザーにと
会社の同僚”山ガール”をギフに紹介します。

ギフはその”山ガール”と二人で山登りをします。
ところが
ギフは下山中、息苦しくなり歩けなくなります。
でも、若い女性”山ガール”に迷惑をかけてはいけないと我慢し続けます。

とうとう見かねて”山ガール”は「私があなたをおんぶします!」と言い切ります。
「女性には無理だし、荷物もある」と断るギフに
彼女は「荷物は捨てます!」と投げ出します。
そんなやりとりをしているうちにギフは元気になります。
それを不思議がる”山ガール”に
ギフはこう言います。
「助けてもらえると思えたら、息苦しくなくなった」と。
そして二人は無事に帰ります。
…そんなストーリーでした。

私たちは助けを求めてはいけないと思ってます。
それは無意識ですが、かなりの緊張を自分に強いているようです。

助けを求めていいと思えるだけでもとっても大きなことです。
たとえ直接の助けでなくても、話を聞いてもらえるだけで解決への道が見つかることも少なくありません。


ところで…余談ですが…
このドラマの最終回。テツコさんと岩井さんが結婚してギフと三人で暮らすことを示唆して終わりました。
血のつながりのない三人が暮らす…
木皿泉さんはある対談の中で血がつながってるから家族なんではない。
思いやりと気遣いをして「家族」になるんじゃないかと言ってます。
そんな思いがこのドラマで描かれていました。


追記:原作を読みました。8つの章に分かれてました。亡くなった息子一樹や、その母が主役の章もあり、映像と違う部分が多いです。でも同じ人が書いているので違和感は少ないです。結論を強制しないのが良いです。


追記2:テレビドラマ出演者 (だいぶ前に見たのですが山ガール以外は覚えてました。)
 ギフ(鹿賀丈史) テツコ(仲里依紗) 岩井さん(溝端淳平)   
 回想場面 テツコの亡夫(星野源) ギフの亡妻(美保純) 
 山ガール(吉田羊) となりの元CA(ミムラ)



 



私と一緒に勉強したい方は