Another School CocoonのLesson16(2022.08.26)レポートです。

 テーマ「不登校の進路」生き方イロイロ、進路もイロイロ

 最近、Youtubeで元不登校、現在その支援をされている方が「学校なんて行かなくていいんだよ」という大人に出会うけど、抵抗を感じるとの発言を聞きました。私自身、高校を中退したとき、同級の友達から電話で「私もやめたい」と言われました。思わず「しない方がいい」と言ってました。身近に不登校はおらず、先が見えない…「常識」を言う自分がそこにいました。

情報は大事です。

    不登校の最大の不安は自分から積極的にならない限り情報がない…最初の相談先は学校。その多くは登校再開、促進しか言いません。立場上仕方ない?…でも主役は学校やシステムではありません。子供です。多くの人は学校だけしかないと思い込みます。
 小、中学は不登校でも卒業できます。それを知ったホリエモンがネットで「なんだ、行かなくていいんだ」と言ったのを最近聞きました。その拍子抜けしたような口調が印象的。でも、実際は当人が追い込まれてやっと知る…情報源は学校以外が多いようです。

 今回のCocoon Lesson16のテーマは不登校の進路です。
 ナビゲーターは 小、中学校、高校進学せず、オルタナティブスクールで育ち、進路を自分で決めてきた、蓑田道(みのだたお)さん。謙虚で素直で意志を感じられる…当事者のお話はいいですね。小学生のころから現在(二十歳)まで、どのように感じ、考えてきたかを伺いました。


さて、その前に
「生き方イロイロ、進路もイロイロ」です。そのイロイロのご紹介。


…中学以降
高校へ行ってみる
〇全日制高校
 内申点を選考の基準にしていない高校やオープン入試を実施している高校なら、学力試験の結果だけで入学できます。数は少ないものの、学力や内申点を考慮せず、面接だけで選考を行う高校もあります。


〇通信高校(N校、おおぞら、明蓬間などが有名)
 書類選考と面接だけの学校が一般的。
内申点は選考基準に含まれません。学校によっては、学力試験や作文などを行いますが、ほぼ全員が入学できます。学校が入学を受け入れている都道府県からであれば、誰でも受験することができます。自分のペースで学習できるのが特徴。

〇通信サポート校
 通信制高校に通う生徒に対して、3年間で卒業ができるよう単位取得・進級などに必要とされる勉強や精神面での支援を行うことであり、「塾」や「予備校」に近い存在。
 通信制高校と提携しており、サポート校入学の際には通信制高校への同時入学が必要。自由度が高めで心理ケアがしっかりしているところも多い。

〇定時制

〇高校認定
 文部科学省が実施している試験で年に2回(8月・11月)に実施。
 受験資格は、高卒認定を受験する年度の3月31日までに満16歳になる人。(高校1年生と同年齢の人)。中学を卒業して高校進学しなかった人、高校中退した人、外国籍の人も受験できます。
合格すると、高校卒業と同じように大学区・専門学校への進学、就職、高卒以上が必要な資格試験の受験が可能になります。
 合格点は40点くらい。8科目。中学~高1の内容。一回で受からなくても、何度もチャレンジできます。※詳細は文部科学省のHPをご覧ください。


就職・アルバイト
働く経験値は尊い。
中卒、高卒は離職率が高い?
若いんだから、いろんなことにチャレンジしてスキルアップすればいい!

 ひきこもり14年の男性が月50万円稼ぐウーバー配達員に。ゲームでゴールドを集めるような感覚。
 今年1月のLesson10のナビゲーターの美空さんも高校進学せず就職しました。
 そのときのお話

 不登校時代は多くの人に…
  学校に行かないと
     ろくな大人にならない。
     仕事に就けない、乞食になる。
     足元をすくわれる。
  社会は冷たいところだからなめられる。
    と言われ続けてきました。

  美空さんは、「一般的ではないかもしれませんが、私が経験してきた社会はそんなに冷たくないということをお伝えしたくて」と…お話をしてくださいました。


高校以降なら…
就職、バイトはもちろん、学びたくなったらいきなり大学院(中卒でも行ける)だってOK!

いっそ…
ギャップイヤーはいかが?
 ギャップイヤーって何?…
 ヨーロッパやオーストラリア、カナダなどでよく行われており、学校を終えて大学に行くまでの1年間や、大学を終えて就職する前に、旅行や仕事、インターンをしたりして人生経験を積む期間。ドイツの学生から「日本は卒業したらすぐ就職するの?」って聞かれるくらい当然のようです。
 
 自分が何のために大学で勉強するのか、就職するのかを見つめるいい機会になります。

 5月病で大学や仕事を辞めてしまう人が激減することもギャップイヤーの特徴といえます。
 ギャップイヤーを使って1年間海外を見てきた学生の中退する率はなんと3%と大変低く、通常のギャップイヤーを体験しない学生の20%の中退率と比べて大きく差が出ています。




あらためて…ナビゲーターのご紹介
蓑田道さん (288)蓑田道(みのだたお)さん。現在20歳

経歴
小学校1~2年生 地元の公立小学校に通う
3年生から~ 公立に籍を置きながら2つのオルタナティブスクールで学ぶ


小学校時代
小学校3~6年生 東京コミニティスクール
       探求学習を中心にした少人数の学校。全校生徒20人くらい。

中学校時代
中学校1~3年生 東京サドベリースクール
         テスト・授業のない学校。全て本人がやることを決める。
         基本的に学校の運営・経営は生徒による投票で決める。

高校
 行かずに、高校認定取得

現在
大学は通信の放送大学で勉強しながら、活動していたが、大学でちゃんと学びたいと思い、現在は受験勉強中。


お話が始まります。

小学校…東京コミュニティスクールへ「転校」

 学校をつまらなそうにしているのを(親御さんが)心配され、「転校」しました。実際は一条校(法律で定められた学校)ではないため、公立小学校に籍を置いたまま通うことになりました。

〇東京コミニティ―スクール
 大人と子供が対等で、双方向。「おもしろい」と思いました。
 当時、全校生徒は14人程度。みんなは校長の市川力さん(当時)を”おっちゃん’と呼び、そのおっちゃんを中心に、「探求学習」行う学校です。
 午前中はふつうの授業、午後はテーマ学習をしました。

〇テーマ学習とは?
 答えがあることを学ぶのではなく、子どもとスタッフが対等の立場に立ち徹底的に何度も議論し、自分の頭で探求するカリキュラムです。

答えのないテーマ…その例
・「個の尊厳」…「死」とは何かについて考え、おっちゃんが30年後に亡くなったと想定して自分の将来の人生について考える。
・「ロストエナジー」…エネルギー問題について考え、消費電力50%減でも持続可能なまちづくりを考える。

 ⇒自分で考える力を身につけることができました。

 印象的だったのは…「死」です。葬儀社、エンバーミングへフィールドワークしました。生々しいお話も聞きました。調べたことは必ず発表します。「おっちゃん」が死んだと想定し通夜の再現劇をしました。前年は心停止から「葬儀」もしたそうです。


中学…東京サドベリースクールへ
授業が無いのにびっくりしました

 中学校は、都立中高一貫校の受験や公立中学への進学も考えましたが…雑誌でみつけた東京サドベリースクールに入学しました。
⇒こちらも地元の中学に籍を置きながら通学。中学の3年間在籍しました。

〇東京サドベリースクール
スクリーンショット (299)授業もテストもない学校。一軒家です。
 但し、学校の運営は生徒が自主的に行います。経営なども生徒が参加。大人と対等です。普通の学校は校則があるけど、サドベリーでは生徒が参加するミーティングでルールを決めます。ミーティングの参加は自由です。


 授業がないのにびっくりしました。怠けたかったらどこまでも…。
 当時、ベネッセのチャレンジをやろうとしましたが…五か月分たまってしまい…親に「もったいないからやめていい」と全部片づけられました。
 最初のうちは、自由な時間を使っていろいろやろうと意気込んでいましたが、ゲームばかりやるようになってしまいました。(※そのときの心境はむすび~質問タイムで)

 
転機は、一冊の本との出会い
本と現実が結びつきました

 中二までずっと遊んでいましたが…
 リベラルアーツや、小説などを読む、塾にも通っていました。
 中学校2年生の夏(2015年)に塾の先生から中上健次の「岬」を紹介されて部落問題に関心をもちました。

⇒ちょうどその時、安保法制が国会で審議され、政治へ関心をもちました。本と現実が結びつきました。


高校生の時は何をしていたか…

 高校は行かず、高卒認定を取得しました。
 選挙権のない高校生の立場だからこそできることは何か。
 国会前抗議行動、「選挙に行こう」など。選挙に行こう(302)
 議員会館などを使い、政治や社会問題について議論し、国会議員に政策提言をするイベントの運営をしました。2019年には、地域で活動する学生を集めて取材する学生団体「クリネクション」を立ち上げ、いろんな人を集めました。




現在
 大学に行かずに活動を続けようと意気込みましたが、大学に入り政治を学びたいと思うようになり、現在、受験勉強中です。

お話のむすび…蓑田さんの文をそのまま引用します。

そもそも「学校」とは何か?
学校だけが学ぶ場所ではない  

「いわゆる普通の学校にはほとんど行っていない。小学校3年生から中学校3年生までの7年間、公立小学校、中学校に籍を置きながらオルタナティブスクールに通っていた。その間、公立校に1日たりとも通ったことはありません。

どんな生き方でも、生きたいように生きることが大切。
いわゆる一条校も、多様な学びのうちの1つでしかない。
行きたければ行く、行きたくなければ行かなくて良い

最後に…
『学校』だけが学びの場ではない。1人1人が探求したいことをどこまででも探求できることが大切だと思います。」


……「もっと気軽にとらえて欲しい」と蓑田さんは言います。

スタッフから
 アメリカは家族が優先、「家族旅行に行くので休みます」と学校に伝えると「楽しんでくださいね!」と言われます。
 サドベリースクールは自分のやりたいことを見つけられる環境です。東京サドベリースクールの大家さんははじめは「学校に行かなくていいの?」と心配されましたが、法的に問題ありませんし、実際に「生き生きとした子供たち」を見て安心されました。

蓑田さん:(自分は)一人の世界に没頭するのが好きです。
 東京サドベリーでは1~2年は正直なところ「遊び」でゲームをやりつくしました。中2でこのままでは「やばい!」…でも中途半端はいけない…一か月ゲームに集中…「廃人」になってみると。そして政治に出会いました。


質問タイム

Q:普通の学校に行ってないとき勉強が心配ではありませんでしたか?

A:地元のコミニティでは授業がありましたが、サドベリーは無いので常にやばいなと。どんどん取り残される感じがしました。中2の後半、学校から支給されてる教科書を使って中1と中2の数学の勉強をしました。1~2か月でできました。もちろんわからないところは大人に聞きました。

スタッフ:本人が一番不安を感じ、考えています。「あの時代に戻りたくない」と言う子もいます。

Q:(現在の)大学受験勉強は独自にしているのですか?

A:基本、個別です。週に一回塾へ行ってます。朝から晩まで勉強をここまでするのは初めてです。


Q:サドベリーの頃の家族のサポートはありましたか?

A:基本なしです。(親は)「自分の選んだ道は自分で責任もってね」と。健康面では心配されることがありました。家族は話しやすい環境で対等です。(親は)「子どもは(経験が無くても)それなりに深く考えている」と思ってくれました。


Q;大学受験をしようと決意したきっかけは何ですか?

A;自分のやりたいことがわからなくなってました。街づくりはすきでしたが。政治に関心をもち。それには学んだ方がいいと思いました。


Q:仲間たちとの活動の影響はありましたか?

A:十代で政治活動する子は変わっていると思います…。

-------このあと各トークルームに分かれ終了後閉会となりました。


※重複する部分をまとめ構成しました。語尾は引用を除き、敬体にしました。


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2021年度の珠玉のLESSON!ダイジェストもご覧ください!

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