私は磯田道史さんの話が好きです。それは、歴史が今につながって生き生きとするからです。
 今の日本は、どういうわけで出来上がったのかと。
 江戸時代にコロナ禍と同様なことがあり、各藩はどのように対応したか、上杉鷹山も苦心したとラジオで話されてました。そこから今どうするか学べる…それが歴史のはず。年表の暗記だけではもったいない。

 さて、今の日本の思考…経路依存性
 経路依存性とは…会社なら社歴の長い人、政治家なら当選回数の多い人、親が政治家の人を重用する。本人を見るのではなく経路を重視する。そういえば、他国と比べると、日本の国会議員は二世が突出して多いです。

 何故、そこまで重視するのでしょうか。磯田先生のお話です。

500年前の日本の変化 
〇農業のやり方を変えた
中国の稲作を見て、肥料を多くやれば収益が増えると気づく。
鎌倉時代あたりから、細やかな園芸的農業をはじめた、江戸時代にため池をつくるなど更に発達。
10アールあたり2石(バスタブ2個分)、裏作(麦など)は無税だった。

その結果どんな人が重用されるようになったか。
細やかな農業をやる、勤勉な人、字が読めて賢い人
親の言うことを聞きながら緻密な農業を行う人

〇鉄砲で戦争の効率化
 武士は火縄銃の時代が終わり、鉄砲が席巻する。強いものにどんどん統合された。 
  信長、秀吉、家康などは自分の言ったところに住めとした。城下町。都市に人口が集中。

上位から10番目までの都市に住んだ人口を調べた人がいた。
中国は多くても1~2.6%だが、
日本は8~8.6%が都市に集中した。江戸、大阪、京都だけで150万人住んでいた。
当時の日本の人口は3000万人。20人に一人が三大都市に住んでいる。

〇都市に人が集中すると、
識字率があがる。成人識字率は40%。江戸の真ん中なら三人に一人いるかもしれない。
中国の識字率は色んな説があるが一桁が有力。そういうところでは工業化は難しい。

都市では取引ルールなどもでき、テクノロジーも高度化する。
西ヨーロッパの識字率は40%以上、北欧は80%、ドイツ、イングランドは70%以上

字が読める、社会分業の程度が高くなる。「耳かきをする」だけ、「たばこの粉を刻む」だけが仕事の人がいた。
日本に無いのはエンジン、蒸気機関。
出版は江戸時代はすごい、情報の発達。先物取引も始まっていた。世界最初という人も。

教育では主君と親は絶対と文字を教えると同時に子供に入れた。朱子学だ。
いつでもお父さんと親分を探している国民性が形成

上意下達の工業化に最適の気質ができあがっていた、そこへ西洋モデル工業がきた。


〇「探さない人」も最初の100年はいたが、どうなったか。

 皆殺された。(聞き手の波頭さんも絶句)

 火つけ、強盗ではなく、「言うことをきかなかった」から、歌舞伎を見に行っただけで殺された武士もいた。
 死刑の執行率を調べた。主君の言うことを聞かない人を「いたずら者」と呼んだ。かぶいたりする人たち。だいたい人口2~3万人の城下町で処刑を年間3人行っている。今の人口比で考えると、200万とか300万人の県なら、毎年100人殺したことになる。

 江戸時代最初の100年の領主の刑罰は、耳そぎ、鼻そぎ、処刑。綱吉の生類憐みの令のときまでその勢いだった。

 親の言うことを聞かず自分で自由にしたい人…「いたずら者」、「言うことを聞かない者」は処分されるか、都市に行く。

 米は2.5石とれるので、都市には流入者を養える力があった。

 その都市は感染症が流行っているうえに当時は抗生物質もないので、都市へ入っていく人は割と早く死んで子孫が残せない。

 農村部に残ったら、田んぼは親の言うことを聞いたら、単独相続、全部もらえる。
なるべく親に仕えて言うことを聞く人の遺伝子プールになっていく。

これを1650年くらいから350年間やったわけである。世代で言えば、十数世代。

みんな親分を探す人たちになった。

日本は他の国と組みたがる。
日本が過去に組んだ国…世界のナンバーワンの国と組みたがる。
七つの海に乗り出したスペイン、ポルトガル。次はオランダ、
次は世界の工場になったイギリスにつく、
一瞬、世界を席巻したナチスドイツにつく、
60年代社会主義経済がよく見えるとインテリたちがこぞってソ連につく。
アメリカが勝ったら構造改革だとつく。
アメリカが落ち、中国が台頭すると「いい」と思いながらも「言論の自由がない」と衰退してもアメリカの方が付き合いやすいのではと国論が分かれる。

日本人はわかりやすい。

地理的には経路依存性が高いのは東日本の内陸部。
東京は縦繋がり、大阪は横のつながりお金の論理。
海洋民は新しいことを始められる。
IT企業創始者は九州の人が多い。

以上が磯田先生のお話の一部です。

これに対して経営コンサルタントの波頭亮さんがこんな話をされました。

日本人は自立自決は心から求めてないのでは。

思考は環境決定要因と言われたが、DNA解析で見方が変わった。
ジョナサン・ハイト著 「世界はなぜ右と左に分かれるのか。」
本能的にDNAで「何が心地よいと感じるか」が人によって違うとわかった。

大きく二つにわけて
調和の人…生まれながらにいろんな統制や体制を受け容れるし、
リベラル、自由に軸足のある人…本能的に統制や体制を嫌う。

縦型社会は工業化を進める絶好の場所だった。

これからは世界の中心がない、多様な社会。

自分自身が自分の主人になる

 なんで外にマスターを求めるのか。
 今の日本はくっつく相手のないコバンザメ状態。

 さて、最後に私の我田引水です。…不登校でなぜ生きる死ぬまで思いめてしまうのか、その背景は磯田先生のこの話と無縁には思えません。お上に反論することへの恐怖感…以前テレビの歴史番組でこんな話をみました。幕末に圧政に苦しみ、甲州から江戸へ訴えに行く男性は、妻子と離縁し死を覚悟して旅立ちました。正しいことを訴えようとしても死を覚悟しなければならない…。
 思えば、子どもの頃から、理不尽な目にあっても、「事を荒立てるな」ブレーキがかかり、私自身も臆病になりました。

 ちなみに私は水戸黄門と忠臣蔵が昔から共感できませんでした。前者は印籠を出し権威で正しく裁定するのを心待ちにする民の姿がいやでしたし、後者は幕府が不公平な裁定をしたことが問題なのに主君の敵をうつ忠義の部分で感動させようとするからです。史実も悪役で殺される吉良上野介は民思いの名君だったそうです。

 参考にした動画のリンクです。上記はその前編の一部をまとめたものです。全部視聴したら印象も変わると思います。私も再聴したら、上記の話の印象がかなり強かったのですが、他のお話も十分興味深いものでした。磯田先生は日本はだめだとは言いません。そこからどうするかを柔軟に考えます。視点が温かいです。

【歴史をRethinkせよ】磯田道史と波頭亮が、日本の未来を見つめ直す(前編) - YouTube

後編:【歴史をRethinkせよ】磯田道史と波頭亮が、日本の未来を見つめ直す - YouTube



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