私は多様な学び方をと提唱しつつ、「不登校」という言葉を使ってきました。確かに、「登校拒否」よりもポジティブな言葉ですが、不登校はまだ「学校」にこだわってます。
 「ホームエデュケーション」は学校へ行かない点は不登校と同じですが学校にこだわらない、自分で主体的に育つ場を選んだ、伸びやかさがあります。もちろん、その過程で学校へ行きたくなれば行ってもいいし、必要を感じなければ行かなくていい。あくまでも本人が必要とするかしないかです。
 この記事を読んで息苦しさからぬけだせる子がひとりでも増えることを願います。

家で育つ子どもたち「在宅不登校」から「ホームエデュケーション」へ  
2017年5月

東京シューレの奥地圭子さんの講演 
(パンフレットを元に) 
「日本のホームエデュケーションのこれまでとこれから」
1・ホームエデュケーションとは
・多様な学び方の在り方のひとつ
・home based education
 学校やフリースクールに通学する形ではなく家を拠点に育つ方法。
 ずっと家にいるのではなく、地域資源(図書館、博物館)を活用したり、学びたいこと、やりたいことのために外出したり、集まりに出かけたりもする。
・教科の時間を区切って、教科書を使いながら、母親が教師代わりに学習させるイメージではなく、子どもの興味・関心・個性、ニーズを軸に育っていくサポートや環境づくりを家庭で行う。

2・東京シューレがホームエデュケーションを後押しした理由
ホームシューレの誕生の経緯
 1992年 国の方向転換「登校拒否は誰にでもおこるもの」
           ↓
     フリースクールなど民間施設も学校の出席日数と認める
           ↓   一歩前進だったが…
     シューレに「いやいや」連れてこられる子ども達が増える
           ↓   本末転倒
     「フリースクールにさえ行けないダメな子」と見る社会
           ↓   
     東京シューレ「家で育つのも良い」とひろめたい
 1993年  ホームシューレ誕生

家にいることはだめなこと?
・不登校を受け止め、在宅で成長した子は、フリースクールでも親の会でもいて、自立していっている実例がある。
・諸外国のホームエデュケーションに出会う。明るさや自信が日本と違う。(イギリス・アメリカ合衆国など)
  「家を中心に育つのが好きなんだ。」学校へ通う子どもとのわけ隔てが無い。国も支援する。
ホームシューレの実践
・現在、全国200の家庭がつながっている。
・つながるツール
  子ども・若者は月刊の『ばる~ん』誌
  親は月刊の『メッセージ』誌
  SNSの交流も盛ん。
・子ども・若者同士が直接出会う場
  サロン、オフ会、全国合宿、美術講座、『ばる~ん』の編集や発送等がある。
・親も、サロンや全国合宿等で交流している。
・希望者への学習サポート
 5年前より札幌自由が丘学園三和高等学校と連携して、ホームエデュケーションをしながら高卒をとれるようにした。
東京シューレ葛飾中学校のホームスクール部門を通して
・長く休んでいる子とその親に、ホームスクールでやっていく道のあることを情報提供
  希望すれば校内の運用として入ってもらっている。
・ホームシューレと同様、月刊誌の発行、メールのやり取り、お出かけ企画、学習サポート、料理やゲーム、ものづくりなど、自分のペースで来て活動している。
・家庭訪問は、希望家庭にスクールソーシャルワーカ―が訪問している。
  在籍だけの子の希望に沿う。家でやっていく良さがある。
3・不登校とホームエデュケーション
同じ家にいても「不登校」と「ホームエデュケーション」は違う
・不登校
 学校教育前提の考え方で、通学すべきだができていない。あるべき姿ではないという概念。
・ホームエデュケーション
 家で育つことが前提の考え方で、それを選んでいる。あるべき姿をとっている。
在宅「不登校」から「ホームエデュケーション」へ
 東京シューレ葛飾中学校の実践から ホームスクールホームの話
 ・今ある自分を肯定していく大切さ(自己肯定感)
   本人は本当は学校へ行った方が良いとの負い目があったが、
  ホームエデュケーションを選んでやりやすくなった。
 ・親や家族、地域社会の理解が重要
  日本にはまだ不登校への偏見がある。 
    国は「問題行動ではない」と認知したが、まだ社会は問題とみる。
    多くの子どもは、意志を尊重されず、苦しい思いを体験する。
    ホームエデュケーションの認知もこれから
4・ホームエデュケーションへの疑問(体験者の話をきく参考に)
 (シンポジウム③④の内容)
①学力は大丈夫なの?親は教えられないし。
②社会性は育つかしら。友人ができないのでは。
③必要な資格はとれるかしら。進路がつくれるか不安。
④うちは共働きで小さい子を家に置いて行けないので、できない。
⑤子供の興味や個性を大事にして、甘やかすことになるのでは。
⑥集団の経験をさせないから、わがままに育つんじゃないの?
⑦家庭は小さな場なので、学校に比べて視野の狭い子になるのでは。
5・ホームエデュケーションのいいところ
①子ども主体で学べる。自学能力が育つ。(自分で能動的に学ぶ)
②時間が無理に打ち切らなくてよく、こころゆくまで取り組める。
③自分に合った方法で学べる。
④緊張や不安にさらされず、リラックスして取り組める。(集団ではないので)
⑤他社の速度に合わせるため、急いだりずっと待っていたりするのでなく、自分の集中力でやれる。
 共に学ぶよさもあると思うが、自分のペースではできない。
⑥好きなこと、やりたいことに多く取り組む結果、個性が伸びる。
6・日本のホームエデュケーション
文部科学省調査開始から50年(1966年~)、現在の不登校小中12万人(2016年)
 1998年から現在まで横這い。
不登校に不寛容な学校・社会 
・学校復帰が前提の政策が長く続く。 
   不登校⇒困る⇒問題児扱い⇒戻る⇒改善とみなす。
・学校が苦しくても学校へいかねばならない。
・その中で追い詰められる子どもたち。
    長期休み明けの子どもたちの自殺 (特に夏休み)
・親も、登校圧力をかけ、子どもの気持ちをおもいやれなかった人が多い。
・このような中では、ホームエデュケーションは育ちにくい。
③本来、ホームエデュケーションは子どもの権利
・日本の憲法「子どもは教育を受ける権利」を持つ。「普通教育」とあり、学校教育と限定していない
・しかし、「学校教育法」しかないため、学ぶ権利を満たすには学校でとなり、親の就学義務も学校で果たすようになっている点は大きな課題となっている。
     他のものは選べないような状態になっている。
・全ての子の学ぶ権利を満たすためには、多様な教育が選択できてこそ実現できる。ホームエデュケーションは多様な学びのひとつであり、それを子どもが望むなら権利として位置づくものである。
④最近の変わり目にある国の教育
・立法化への取り組み
 理念としくみ、実態としくみが合っていない
 ホームエデュケーションを含む多様な教育が選べるしくみを作ろう
         ↓ 
 教育機会確保法・・・休む必要性や学校外の重要性が位置づく法律
  (選べるまでには至らなかったが一歩前進)
    国の有識者会議「フリースクール等検討会議」
           「不登校に関する調査研究協力者会議」
            家庭にいる子どもや保護者支援に目が向く。    
            追いつめることのない取り組みを述べる。
・日本はまだまだホームエデュケーション家庭は少ないが、このような時期に、ホームエデュケーションの存在をもっと広く知ってもらい、豊かな学び育ちが理解され、支援されるように願うものである。ホームエデュケーションに合った子ども達が必ず存在すると思う。その子にいいだけでなく、通学しなければというプレッシャーも減り、子どもや親全体を楽にしていくものと思われる。
 
以上

このシンポジウムは12年ごとに行っているそうで今回で3回目だそうです。

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