東田さんは重度の自閉症者です。

お母さんと大変な訓練を重ね、言葉を修得し、
文章力があることをお母さんは発見されました。
こう書くと簡単なのですが、
とても大変な辛苦であったと講演で語られたそうです。

本書の中にこんな表現がありました。

記憶は「点と点」でなかなかつながらない、「面」にならない。


同じことを何度も何度も聞きます。

東田さんとはタイプは違いますが、
以前、教え子にこんなことがありました。
問題の解き方を説明して、1人で解かせようとすると
鉛筆をもったまま固まってしまいす。
何度も繰り返すうちに
1人でできるようになります。

次に会ったときは…
それを覚えてません。
また始めから説明します。
でも、根気よく繰り返すと残ります。
決して無駄ではありません。
気分転換に、別な単元を学習し、
久しぶりに戻ったら、
あっけないほど簡単に出来たこともありました。

新しいことを学習するときは、
安心させたくて「大丈夫、何回も説明するからね」と声をかけました。

東田さんの本にも何度も何度も
繰り返してほしいとの表現があります。

記憶のしくみが違うのですね。

東田さんは
自分の体は壊れたロボットみたいだ。
自分の思うように動かない。
「はい」と言いたくて、「いいえ」と応えてしまう。
思っていることと逆のことを言ってしまう。

私の教え子は
表現があまり得意ではありませんでした。
誤解されても言い返せずそのままになることも多いです。

それでも明るく振る舞います。
こちらを安心させようとしているのでしょう。

言えないだけで、傷ついていることも多いでしょう。
心の中に沢山の思いを抱えています。
でも明るく振る舞います。
後で、察してあげられなかったこともあったのではと心配になることもありました。


この本はわかりやすい表現を駆使して思いを話してくれます。

心の中は沢山のことが詰まっています。

この本のように素直な真摯な言葉で語られると心にしみます。


追記:読みましたので加えます。


高校生になった著者の本です。
各章は質問形式をとっています。
「第7章援助」の項に
「ぼくはロボットではありません。どうせ説明してもわからないと思われることは、説明している内容が理解できるかどうか、ということ以上に傷つくのです。」
とありました。



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